アニメーション映画
化け猫あんずちゃん
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
庭先でオシッコしたり、所かまわずオナラをする、ちょっと下品な中年オヤジみたいなあんずちゃん37歳(笑)
アニメーション映画『化け猫あんずちゃん』とは
また、どこかで会える?
「母さんに会いたい。」
母を亡くした少女と共に向かうのは地獄の果てー
多摩美術大学在学中に制作した短編アニメーション『Airy Me』が第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞。
アニメーション・イラストレーター・漫画家と各方面から熱い支持をうける気鋭のクリエイター久野遥子監督。
『カラオケ行こ!』の大ヒットも記憶に新しい、長年映画ファンから絶大な支持を集め続ける日本映画名手・山下敦弘監督。
主役である「あんずちゃん」に、『ボクたちはみんな大人になれなかった』、『ほかげ』他、数々の話題作に出演し、俳優だけでなく多岐に渡るジャンルで国内外で唯一無二の活躍を続ける森山未來氏。
日本の芸術分野をけん引する才能が集結し、いましろたかし先生原作の『化け猫あんずちゃん』がアニメーション映画化!
第77回カンヌ国際映画祭の「監督週間」に日本のアニメーションとして6年振りに選出され、さらに世界最古・世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭2024の「コンペティション部門」でも出品が決定。
37歳の化け猫に世界が大注目!
本作では実写で撮影した映像からトレースし、アニメーションにする「ロトスコープ」という手法を採用。
従来では、演奏シーンやダンスなど人間の動きをリアルにアニメーション化する事で用いられる事が多いのだが、本作では撮影現場でしか生まれない「お芝居」をアニメーションに落とし込む事に注力している。
もうひとつ大事な要素が、セリフの同時録音である。
その現場でしか生まれない掛け合いによる役者の「声」も同時に録音する必要がある。
その為、実写班には山下監督を中心とし、実写映画界の優秀なスタッフが集結し、映画撮影そのままの撮影を敢行。
そして、その映像や音声をもとに久野監督が緻密な芝居から抽出するエッセンスを吟味し、スタッフと共にアニメーションを作り上げている。
あの森山未來氏が実写映画同様に動き話す姿を撮影しておきながら、映画館で目にするのはアニメーションで表現された完全に化け猫の "あんずちゃん" という、贅沢ともいえる、徹底的にこだわった制作方法。
実写で役者が演じた登場人物たちはその魅力を活かしながら、久野監督デザインによるキュートなキャラクターに変貌をとげ、ロトスコープアニメーションならではの生き生きとした動き・表情で動き回る特別な仕上がりは可愛くもどこか現実味のある未だかつて観た事がないアニメーション映画となっている。
脚本は『苦役列車』でも山下監督とタッグを組み、監督としてクリストファー・ドイルと撮影タッグを組んだ異例の経歴を持ついまおかしんじ氏が執筆。
撮影に『リンダ リンダ リンダ』『苦役列車』 など多くの山下作品でカメラを握る池内義浩氏。
衣装は『シン・ウルトラマン』『竜とそばかすの姫』など実写、アニメーション関わらずアーティスト、演劇と幅広いジャンルで活躍し続ける伊賀大介氏が担当。
森山氏の他キャスト(声・動き)に、あんずちゃんと共に過ごす少女 "かりん" を山下監督の『1秒先の彼』でもフレッシュな魅力を発揮した五藤希愛さん、かりんの父を青木崇高氏、母を市川実和子さん、おしょーさんを鈴木慶一氏、さらに水澤紳吾氏、吉岡睦雄氏、宇野祥平氏ら名バイプレイヤーたちも集結。
鈴木氏は本作の音楽も担当し、独特な世界観を味のある繊細な音楽で彩る。
また主題歌を佐藤千亜妃さんが本作のための新曲「またたび」を書き下ろした。
実写映画の精鋭たちが勢ぞろいする中アニメーションには、アートディレクターをアカデミー賞ノミネート作品である『レッドタートル ある島の物語』で背景を担当したJulien De Man。
コンポジット開発にはイギリスでVFXアーティストと活躍するGuillaume Cassutoが参加。
キャラクターデザインは監督である久野さんが自ら手掛け、作画監督を石舘波子さん(『ペンギン・ハイウェイ』作画監督)、中内友紀恵さん(『あはれ!名作くん』作画)が務めている。
本作ならではの最強の布陣が実現した。
また、アニメーション制作では『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』で知られ、『窓ぎわのトットちゃん』など繊細な芝居を得意とするスタジオである「シンエイ動画」と、カンヌ国際映画祭やアヌシー国際映画祭で数々の賞を受賞し、新進気鋭のフランスのスタジオ「Miyu Productions」が長編として初の日仏共同にてアニメーションを制作。
シンエイ動画がキャラクターの動きを描き、Miyu Productionsが背景美術と色彩を担う。
実写×アニメーション。
日本×フランス。
ジャンルや国を超えた才能がタッグを組んだ、前代未聞のアニメーション映画!
化け猫あんずちゃん ブルーレイ&DVDセット(通常版) [Blu-ray]
【Amazon.co.jp限定】化け猫あんずちゃん ブルーレイ&DVDセット(初回限定版)(アンブレラマーカー付き) [Blu-ray]
原作:『化け猫あんずちゃん』
「コミックボンボン」(講談社)にて2006年8月号から2007年11月号まで連載された。
単行本はKCデラックスから全1巻。
化け猫として人間社会に馴染んだあんずちゃんの日常を描いた作品。
2024年まさかの続編『~風雲編』がコミックDAYSにて連載開始。
あらすじ
雷の鳴る豪雨の中。
お寺の和尚さんは段ボールの中で鳴いている子猫をみつける。
その子猫は「あんず」と名付けられ、それは大切に育てられた。
時は流れ、おかしなことにあんずちゃんはいつしか人間の言葉を話し、人間のように暮らす「化け猫」になっていた。
移動手段は原付。
お仕事は按摩のアルバイト。
現在37歳。
そんなあんずちゃんの元へ、親子ゲンカの末ずっと行方知れずだった和尚さんの息子・哲也が11歳の娘「かりん」を連れて帰ってくる。
しかしまた和尚さんとケンカし、彼女を置いて去ってしまう。
大人の前ではいつもとっても“いい子”のかりんだが、お世話を頼まれたあんずちゃんは、猫かぶりだと知り、次第にめんどくさくなっていく。
かりんは哲也が別れ際に言った「母さんの命日に戻ってくるから」という言葉を信じて待ち続けるも、一向に帰ってこない。
母親のお墓に手を合わせたいというささやかな望みさえ叶わないかりんは、あんずにお願いをする。
「母さんに会わせて」
たった一つの願いから、地獄をも巻き込んだ土俵際の逃走劇が始まるんだニャ。
登場人物
あんずちゃん
声 - 森山未來
主人公。
子猫の頃におしょーさんに拾われ、30歳を過ぎて化け猫となる。
猫らしい気まぐれで大雑把な性格。
可愛い名前と外見だが、中身はおっさん。
漫画では32歳だが劇場アニメでは37歳。
普段は寺男として過ごすが、一応、按摩の仕事もしている他、川のパトロールや祭りの屋台等の短期バイトをする事も。
按摩の出勤の際は原付を用いていたが、ノーヘルと無免許を警察に指導された後は自転車に乗り換える。
おしょーさんに拾われた際に、安心させるような笑い声を掛けられており、それに似た「ニャッハッハッ」という高笑いをよくする。
かりん
声 - 五藤希愛
哲也と柚季の娘。
11歳。
大人の前ではいい子だが、猫かぶり。
祖父の寺に置いていかれあんずちゃんに世話をしてもらう事となる。
しかし逆に金をあんずちゃんにパチンコで使い込まれる等、迷惑を被る。
亡くなった母に会いたいという願望がある。
おしょーさん
声 - 鈴木慶一
あんずちゃんの育ての親。
草成寺の住職で、雷雨の夜に捨てられていたあんずちゃんを拾う。
後継者問題に悩む。
哲也
声 - 青木崇高
おしょーさんの子。
原作ではプロレスラーになる為に家を出ており、行方知れず。
劇場アニメでは、おしょーさんの子という設定に加え、かりんの父親として登場。
借金がかさんでおり、20年ぶりに寺を訪れて金を無心したが、おしょーさんとけんか別れ。
結局、かりんを寺に預けて借金返済に赴く。
柚季
声 - 市川実和子
かりんの母親。
故人。
地獄では清掃員を務めている。
閻魔大王
声 - 宇野祥平
地獄の統治者。
あんずちゃん達の巻き起こした騒動に、獄卒を率いて対応する。
主題歌
- 「またたび」
歌 / 作詞・作曲 - 佐藤千亜妃
編曲 - 高橋海(LUCKY TAPES)
レーベル - A.S.A.B
アニメーション映画『化け猫あんずちゃん』の主題歌として書き下ろされ、アレンジャーを高橋海氏(LUCKY TAPES)が担当した楽曲。
ゆったりとしたテンポや温もりを感じるギターサウンドが印象的な1曲に仕上がっている。
現代版「フーテンの寅」さん?
長生きしすぎた結果、化け猫になってしまったあんずちゃんは37歳。
ガラケーを首からぶら下げ、スーパーカブを乗り回す初登場時(化け猫状態)のインパクトは絶大で、化け猫の怖いイメージは皆無である。
営業マンのような話し方で電話に出たり、庭先でオシッコしたり、所かまわずオナラをしたり、まるでちょっと下品な昭和の中年オヤジそのもの。
その姿からはむしろ、昭和の中年オヤジが湛えていた哀愁みたいなものが感じられて、なんだか懐かしい感じがした。
そのおかげかどうかわからないが、化け猫という非現実的ファンタジー設定が自然と受け入れられた。
一方、もうひとりの主人公の女の子・かりんちゃんも負けていない。
最初に発する台詞は「チッ」と舌打ち。
自分の父親を呼び捨てにする(呼び捨てにされてもしょうがないほど駄目な父親なのだが…)。
ことあるごとに悪態をついたり、人を利用しようとしたり、なかなかに困った性格であるかりんちゃんもまた、どこか昭和感が漂うキャラクターである。
こういうひねた子供キャラというのは、脇役で多くみられる。
だが、現代アニメにおいては久しく描かれていない主人公像のような気がする。
かりんちゃんの父親も父親で、心にまったく余裕のない現代のろくでなしとはひと味違い、何事も「なんとかなる」と思い込んでいた昭和のおおらかさを感じさせる。
だからだろうか。
あくまでなんとなくでしかないが、あんずちゃんが昭和のあのお節介男。
名作『男はつらいよ』の、「フーテンの寅」こと車寅次郎その人に見えて仕方なかった。
そんなそこはかとなく昭和感が漂う本作だが、制作技術は最新そのもの。
作画の美しさはもちろんのこと、色彩感覚が非常に豊か。
さらには特徴的な人物画も相まって、海外作品色を強く感じる。
かと思えば、『まんが日本昔ばなし』の登場人物のようなおしょーさんが登場するなど、日仏合作ならではの和洋折衷な映像に仕上がっている。
実際のお芝居を元にアニメーションを起こす「ロトスコープ」という手法は、お芝居の時の音声をそのまま使用することで、俳優陣の自然な演技を見事に反映していた。
そのせいかアニメならではの抑揚を利かせた、大袈裟で仰々しい魅せるシーンの迫力には欠けている。
しかし裏を返せば、そのおかげで終始起伏の少ない非常に穏やかな作品となっている。
本作は強く印象に残るような作品ではない。
しかしどこがどうというわけでもなく、記憶の片隅にぼんやり残って離れない懐かしさを感じられる。
昭和感が漂う故か現代では生々しく感じるであろう描写も多々見受けられるが、それでも家族揃ってぜひ観ていただきたい作品である。
『化け猫あんずちゃん』久野遥子監督&山下敦弘監督インタビュー、役者の芝居が絵のガイドになるロトスコープでの制作について話を聞いてみた
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎
![化け猫あんずちゃん ブルーレイ&DVDセット(通常版) [Blu-ray] 化け猫あんずちゃん ブルーレイ&DVDセット(通常版) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51ErUoYboXL._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】化け猫あんずちゃん ブルーレイ&DVDセット(初回限定版)(アンブレラマーカー付き) [Blu-ray] 【Amazon.co.jp限定】化け猫あんずちゃん ブルーレイ&DVDセット(初回限定版)(アンブレラマーカー付き) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41eypUWbNvL._SL500_.jpg)





