しあわせのパン
洞爺湖の美しさは必見!四季折々に織りなす人間ドラマが魅力の名作
洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…
洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…
それが邦画の良さだと思う。
昔は当たり前のように洋画一択だったが、近年の邦画はなかなかバカにできない。
製作費でハリウッドに勝てないならシナリオと演出と演技で勝負といわんばかりに、邦画のクオリティーは年々高くなっている。
たしかにハリウッド映画は華やかで見栄えもするが、どうしても大味になってしまっているように感じる。
演出的にはどうしても地味な邦画ではあるが、シナリオ的に感性が合うのはやはり制作者が同じ日本人だからだろうか。
もちろん作品によるが、邦画には洋画のクライマックス的派手な見せ場がほとんどない。
ドッカンドッカン爆破しないし、ガガガガ派手な銃撃戦もない。
カッコいい戦闘機も、イカツイ戦車も邦画とは無縁に近い。
だが、最近そんな邦画が観ていてとても心地よい。
ガチャガチャとうるさいだけの映画は苦手だ。
時には深く考えさせられ、じわじわ心にしみてくる映画を好むようになってからというもの、邦画が面白くて仕方ない。
日本人ならではの感性で演出し魅せていくのが邦画だ。
ここではまったく派手ではないけれど、どうしようもなく心にしみて今なお強く記憶に残っている邦画をご紹介したいと思う。
『しあわせのパン』とは
『しあわせのパン』は、日本の映画作品。
2012年1月21日に北海道先行公開され、同年1月28日に全国公開された。
監督・脚本は三島有紀子さんで、長編では初監督作品である。
東京から北海道の洞爺湖の畔に移り住み、小さなオーベルジュ式のパンカフェ「マーニ」を営む夫婦と、そこに訪れる客たちとのふれあいを描いている。
監督の三島有紀子さんが脚本も担当。
本作の脚本は、主題歌である矢野顕子 with 忌野清志郎の「ひとつだけ」にインスパイアされ書き下ろされている。
北海道洞爺湖町月浦地区に実在する店がモデルとなっており、すべてのシーンが実際の店舗を含め北海道で撮影された。
2011年1月28日にクランクアップの様子はUstreamで生中継された。
キャッチコピーは「わけあうたびに わかりあえる 気がする」。
北海道12スクリーンの先行公開で映画観客動員ランキング第20位を記録。
続く全国公開では全国47スクリーンという小規模公開ながら、2012年1月28、29日の初日2日間で興収3,550万620円。
動員2万6,130人になり映画観客動員ランキングで第10位を記録している。
あらすじ
小さな2階建ロッジのパン屋が湖畔に開店した。
夫の「水縞尚(みずしま なお)」(大泉洋)が焼くパンと、妻の「りえ」(原田知世)が淹れるおいしいコーヒーが自慢の店。
店名は、りえがお気に入りの絵本「月とマーニ」にちなんで「カフェマーニ」。
たちまち近所で人気の店になり、子沢山で農家経営の広川一家、謎のトランクを持った阿部さん(あがた森魚)、地獄耳のガラス作家・陽子さん(余貴美子)、そして毎日配達にきてくれる郵便屋さん(本多力)などの常連客に憩いの場を提供する。
薪の竃で焼いたパンの他、自家菜園の野菜を使った料理も絶品。
1階のテーブル席では、大きな窓に湖畔の景色が映え、日が没すると月夜が輝く。
2階は簡易宿泊所になっており、ときどき、正面のバス停を利用して遠方から旅行客も訪れ様々な人間模様を描いていく。
洞爺湖の美しさは必見
四季折々に織りなす人間ドラマが魅力の名作
四季折々に織りなす人間ドラマが最大の魅力の今作品。
夏
彼氏にふられ、沖縄旅行をドタキャンされた香織(森カンナ)が一人でやってくる。
意気消沈していた彼女の心は、水縞夫婦や地元の青年・山下君(平岡祐太)のもてなしで徐々に癒されてゆく。
秋
バス停に一人でたたずむ小学生の少女・未久(八木優希)。
登校拒否を察したりえは、彼女を店内に招き入れ、ホットミルクをふるまう。
やがて、父親も訪れ、事情がわかってくるが…。
冬
雪で閉ざされたある日、有珠駅に降り立った一組の老夫婦(中村嘉葎雄・渡辺美佐子)から関西弁で電話かかる。
尚がワゴン車で迎えに行くと50年程前の新婚旅行を思い出し、月を見たいと言っているのだが…。
春
雪が解け、郵便屋さんが、老夫婦からの礼状を配達してくれる。
そして尚はついに、たったひとつの欲しい物を手に入れる。
どれもハートフルで心地よく観られるエピソードばかりだ。
少し考えさせられるテーマも散見するが、原田知世さんと大泉洋さんが演じる素敵な夫婦像がそれを払拭させてくれる。
また、洞爺湖の美しい自然美は都会の喧騒で疲れた心を癒してくれる。
本当の幸せや人間本来の生き方を教えてもらえるような、素敵な作品だ。
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