救命病棟24時
『救命病棟24時』シリーズとは
『救命病棟24時』は1999年からフジテレビ系で断続的に放送されていた医療ドラマのシリーズ。
救命救急センターを舞台に、外科医・進藤一生と第1シリーズでは配属されたばかりの研修医・小島楓、第2シリーズでは転属間もない心臓外科医・香坂たまきとの葛藤・対立や生命の現場を支えるスタッフたちの戦い、そして患者と家族の交流などを人間性豊かに描いた作品である。
第2シリーズでは学長選挙や出世争い、派閥抗争、院内孤立なども描き、テレビドラマ的なバラエティ要素も取り入れつつ、トリアージや脳死移植を扱った話も挿入された。
第3シリーズでは災害医療を描いたものであり東京が大震災に見舞われるという想定シミュレーション要素を取り入れ、第4シリーズでは救命医療の現状を描いたものであり医師不足など救急医療の厳しい現実を取り入れた。
また、第1・2シリーズは、本作と同じく江口洋介氏が主演を務めた「モナリザの微笑」と微妙にリンクしており、進藤と堺(演:杉本哲太氏)が同じような構図で対決しているシーンが見受けられるほか、特に第2シリーズにはモナリザ関係者が医師役で多数出演している。
全シリーズ通じて主題歌はDREAMS COME TRUEの楽曲が起用され、中村正人氏は第1・第2シリーズにて音楽を担当している。
あらすじ
第1シリーズ
舞台は都立第三病院救命救急センター。
救命センターの過酷な日常と人間模様や研修医小島楓の成長を描いている。
2000年にフジテレビで再放送されて以降再放送はおこなわれていない。
第2シリーズ
新設された救命センターで医師や看護師たちのチームワークができるまでの人間模様や派閥抗争などを描いている。
前シリーズからは主人公の進藤以外では看護師・桜井ゆきが唯一進藤の前シリーズにおける活躍を知る人物として登場する。
後に小島楓や山城紗江子のようにシリーズを跨いで復活するケースはあったものの、進藤以外の人物で休止期間無しで継続して登場したのは第3〜5シリーズを継続出演した楓以外では、ゆきだけである。
第3シリーズ
舞台は東都中央病院高度救命救急センター。
首都直下地震の発生を想定し第二関東大震災に遭遇した東京近郊の一都市を舞台に、災害医療に奮闘する救命医療チームの苦悩と活躍を描いた。
第1シリーズで研修医として登場した小島楓が、正式にシリーズに復活することが話題となる。
本作では小島も一流の救命医として活躍する。
阪神・淡路大震災から10年経った2005年1月に放送された。
第3シリーズ最終回の翌週に、アナザーストーリー「看護師たちの救命救急センター」が放送されている。
看護師の佐倉亮太と大友葉月を中心とした特別ドラマと第3シリーズの総集編で構成され、東京が震災に見舞われた半年後にテレビ番組の取材で震災当時を振り返るという設定となっている。
第4シリーズ
当初は2009年7月7日に放送開始される予定であったが、江口の負傷により放送が1カ月延期され、8月11日からの放送、全7回に短縮された。
最終第7回を2時間18分に拡大、2010年1月に2時間15分の特別編を放送し、都合10回分の放送枠を確保した。
シリーズでは初となる番組連動データ放送が実施された。
舞台は海南医大高度救命救急センター。
横浜を舞台としているが、実際の横浜の医療体制とは異なる。
第1・第3シリーズから小島楓、第2シリーズから山城紗江子が登場する。
また本シリーズでの新要素として、医師として進藤に匹敵する技術や理念を持ちながらも、救命医療に関する考え方が正反対のいわば「もう一人の進藤」とも言うべき救命医・澤井悦司(演:ユースケ・サンタマリア)が登場する。
本シリーズでは、進藤・小島・澤井の三人を中心に、医師不足やたらい回し、医療訴訟、医療ミス、モンスターペイシェント、コンビニ受診とそれに伴う医療崩壊など現在の救急医療が直面している問題に焦点を当てて、ストーリーが展開していく。
キャッチコピーは「医療を、救命せよ。」、テーマは「救命医療の崩壊」。
モデルケースとなったのは、鳥取県米子市にある鳥取大学医学部附属病院の救命救急センターである(放送直前SPより)。
同センターでは、救急災害科の教授と准教授を含む救急専門医4人全員が、心身の疲労などを訴え「救急現場の窮状を知ってほしい」として、2009年3月末に一斉辞職した。
放送直前SPでは、後任のセンター長兼救急災害科教授に就任し同センターの建て直しに成功した本間正人医師へのインタビューも放送された。
第5シリーズ
2013年7月9日より放送開始。
舞台は国立湊大学附属病院救命救急センター。
第1・第3・第4シリーズで登場した小島楓が医局長として迎えられ、国立大学病院という「救命の最後の壁」として、急造のスタッフと大学病院との思惑を交差させながらストーリーが展開する。
第1シリーズから主演を務めた江口が降板、時任三郎をメインキャストに据えることになった。
キャッチコピーは「命とは、希望のことだと思う。」。
DREAMS COME TRUEが手掛ける豪華な主題歌
第1シリーズ
「朝がまた来る」
第2シリーズ
「いつのまに」
第3シリーズ
「何度でも」
第4シリーズ
「その先へ」
第5シリーズ
「さぁ鐘を鳴らせ」
首都直下地震の発生を想定し制作された本格医療ドラマ
感動の『救命病棟24時』第3シリーズ
日本に住んでいる限り、地震の脅威から目を背けて生きていくことはできない。
いつ、どこで、地震の脅威に晒されるか誰にもわからない。
住み慣れた場所が、ある日突然被災地になる。
どんな些細な地震の情報も、対岸の火事で済ませてはいけないのだ。
『救命病棟24時』第3シリーズは、首都東京が直下型の地震に襲われるところから物語は始まる。
大都市が大地震に襲われたらどうなるのか?
現実に大都市・神戸を襲った阪神・淡路大震災がモデルケースになっているから真実味が段違いである。
このドラマを観て、阪神・淡路大震災が遺した爪痕の大きさを改めて思い知った。
救命救急という、ただでさえ緊迫した舞台に大震災という追い打ちをかけられた医療現場の様子がリアルが描かれていて、とても他人事とは思えない内容となっている。
コロナ禍でもそうだったが、医療現場で働く方たちには尊敬と感謝の念しかない。
『救命病棟24時』第3シリーズから感じるリアリティは、人間模様にも表れている。
地震直後、これからドッと押し寄せてくるであろう患者のことより自宅や家族が心配で帰宅する医師や看護師がいる。
深く考えさせられるシーンだった。
医療関係者として病院に残ることだけが正義だといえるのだろうか。
医師や看護師といえど、ひとりの人間だ。
そしてひとりの被災者でもある。
日本人は自己犠牲を尊ぶが、自己犠牲には綺麗事がつきまとう。
実際に自己犠牲することができる人間なんて、そうそういるものではない。
誰だって自分と、自分の大切な人のことを真っ先に考える。
人間のリアルとはこうではないのか。
もちろんドラマでの話だから、多くの医師や看護師が病院に残って治療にあたる。
美談といえるだろう。
だが、いざ実際に自分が被災者になった時、ドラマを真に受けたバカが医療従事者を聖人のように扱わないかは不安が残る。
医療従事者だって、ひとりの人間だということを忘れてはいけない。
王者フジテレビのさすがのキャスティング
出演者には有名俳優がずらり
フジテレビがまだドラマの王者だった頃の作品だけあって俳優陣も非常に豪華だ。
主演をつとめる江口洋介氏や松嶋菜々子さんはもちろん、脇を固める当時まだ中堅だった香川照之氏や仲村トオル氏も非常にいい味を出している。
他にも小栗旬氏や大泉洋氏、京野ことみさんやMEGUMIさん。
まだ端役ではあるが、映画にドラマに今活躍中の尾野真千子さんも出演している。
数話しか登場しないゲスト俳優も豪華だった。
これほど豪華な俳優陣をTVドラマレベルでキャスティングできたのも凄いことだ。
キャスティングひとつ見ても、王者フジテレビの当時の影響力の凄さを物語っている。
ふと思ったのだが、江口洋介氏と仲村トオル氏の競演作品って他にあるだろうか?
リアタイ視聴当時は何の疑問も持たなかったが、あれから何年も経ったというのにこの二人が共演している姿を見た記憶がない。
それを考えると、さらに思ったことがある。
江口洋介氏といえば若かりし頃に『湘南爆走族』に出演している。
仲村トオル氏は言わずと知れた『ビー・バップ・ハイスクール』に出演。
どちらも有名なヤンキー映画だよねぇ…
そういう部分で共演が敬遠されたりするものなのかなぁ?
そんなバカなことを考えつつも、二人の貴重な共演シーンから目が離せない。
特に仲村トオル氏は、このドラマを契機にいい役をこなすようになった。
『あぶない刑事』のトオル役のイメージから脱却した、仲村トオル氏の名演技にも注目だ。
3.11
救命に携わるすべての皆様へ
劇中で一番印象深かったシーンは『救った命より救えなかった命の方が多い』と悩み苦しむ登場人物たちの姿だった。
医療従事者でけではない。
救命に携わるすべての人たちの苦悩する姿だった。
救えなかった命…
通常時なら救える命でも、大災害時では選別を迫られる。
助かる可能性を考え、優先順位をつけなくてはならない。
救命に携わる皆様の肩には、それだけ多くの命と責任がのしかかる。
本当に大変な仕事だ。
つくづく凄いと思う。
尊敬してやまない。
3.11という日に、この場を借りて、救命に携わるすべての人に感謝したい。
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