アニメ「ガンダムシリーズ」の第1作
機動戦士ガンダム
『機動戦士ガンダム』とは
『機動戦士ガンダム』は、1979年から放映された日本サンライズ制作のロボットアニメ。
同作から創出された、バンダイナムコグループの象徴的なIP(知的財産)でもある。
このガンダムIPを題材にしたガンダムシリーズの第1作目であることから、「初代ガンダム」「ファーストガンダム」の名で呼ばれることも多い。
『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』に続く日本サンライズのオリジナル作品第3作(ロボット第1期3部作の3作目)として、富野喜幸氏を監督に据え、玩具メーカーのクローバーをメインスポンサーとして企画・制作された。
対象年齢を従来より引き上げた、ロボットものとしては最初のジュブナイルアニメである。
ロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の戦士』の影響を受けた作品ともいわれている。
当初の企画「フリーダム・ファイター」では、前作のようなロボットを登場させる予定はなかった。
しかし、スポンサーであるクローバーからは空母の玩具を売っても商売にならないとして、ロボットも出すように要請があった。
そこで、これまでの巨大ロボットとは異なる人型機動兵器である「モビルスーツ(MS)」が生み出された。
もともと舞台は宇宙であり、宇宙ステーションなどが活躍の舞台になる予定であったが、MSの身長が18メートルと設定されたため、より巨大な「スペース・コロニー」に変更された。
この時点での仮題は「ガンボーイ」(別題: 機動鋼人ガンボーイ、宇宙戦闘団ガンボーイ、フリーダムファイター ガンボーイ)だった(「ガンボット」という名称も考案されたが、ロボット的過ぎるとして却下された)。
これが当時人気を博したアメリカ映画『コンボイ』から「ガンボイ」に、さらにチャールズ・ブロンソンがテレビCMで流行語にした「う〜ん、マンダム」から「フリーダム」のダムとかけて『ガンダム』という名前が生み出された。
最終決定となったこの『ガンダム』の名はタカラ(現タカラトミー)の沼本清海氏の発案によるものである。
富野氏によると「ンのはいった四文字のタイトルの作品は当たる」というジンクスがあるという。
戦争を舞台としたリアリティに富んだ人間ドラマと、ロボットを「モビルスーツ(MS)」と呼ばれる兵器の一種として扱う設定を導入したことで、1980年代初頭から半ばにかけての、後に「リアルロボットもの」と称されることになる一連のロボットアニメ変革の先駆けとなった。
メディアミックスによって重厚感のある世界が構築され、その情報量の膨大さは古今の物語史上で類例が無い。
本作の宇宙世紀とは別世界という設定だったガンダム作品も『∀ガンダム』の「黒歴史」という設定で結合された結果、神話めいた壮大な宇宙史となった。
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劇場版機動戦士ガンダムⅠ〜Ⅲ
劇場版機動戦士ガンダム
テレビ版の第1話から第14話前半までを再編集した第1作で、1981年3月14日に全国松竹系にて公開された。
配給収入は9億3700万円。
劇場版機動戦士ガンダムII 哀・戦士編
第16話から第31話前半までを再編集した第2作で、1981年7月11日に公開された。
本作では、テレビ版と第1作の録音監督である松浦典良氏が降板。
「松浦さんが降りるなら、僕たちも降りる」と古谷徹氏、鈴置洋孝氏、井上瑤氏、鵜飼るみ子さんと主だった声優陣が松浦氏に続こうとしたが、サンライズは拒否した。
結局、自宅を訪れた声優陣を松浦氏が説得したことで騒動は収束したが、松浦氏は復帰せず録音監督は浦上靖夫氏に交代、この騒動の余波で『ガンダム』の声優陣の待遇が改善されたという。
配給収入は7億7000万円。
劇場版機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙(そら)編
第31話後半から第43話までを再編集した第3作で、1982年3月13日に公開された。
75パーセントが新撮であった。
テレビ版の終盤で降板した安彦良和氏が前2作以上に多くの新作カットを担当したこともあり、作画のクオリティはテレビ版より大幅に向上している。
配給収入は、同年公開のアニメ映画で第1位の12億9000万円のヒットを記録した。
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あらすじ
舞台は、スペースコロニーへの宇宙移民が始まって半世紀余りが過ぎた未来世界・宇宙世紀0079年。
圧倒的な国力差にかかわらず、ジオンはモビルスーツの導入やコロニー落とし等の革新的戦術により、優位に立ち、双方の人口の約半分を死に至らしめた。
開戦から半年が経過し、戦争は膠着状態に陥っていた。
赤い彗星の異名を持つジオンのシャア・アズナブル少佐は、地球連邦軍の新造艦ホワイトベースを追尾して建造中の中立コロニー・サイド7に辿り着く。
サイド7では連邦軍による戦局打開の切り札たるモビルスーツ製造計画V作戦が極秘に進行していた。
シャアはモビルスーツ・ザクをサイド7の偵察に送り込む。
コロニー内部に侵入した2機のザクは連邦軍のモビルスーツ製造施設を発見。
手柄を焦った新兵の暴走により、偶発的な戦闘状態に陥る。
連邦軍の技官でモビルスーツ開発者であるテム・レイの息子アムロ・レイは、戦闘の混乱の中、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込む。
偶然手にしたマニュアルを片手に、どうにか2機のザクを倒したアムロだったが、ザクに搭載された核融合エンジンの爆発により、コロニーは損壊。
生き残ったサイド7市民は避難民と化す。戦闘で正規クルーの大半を失い、艦長であるパオロも重傷を負ったホワイトベースは、やむなく新米士官のブライト・ノアを艦長代理とし、新型モビルスーツの回収と並行して避難民を収容。
彼等の中から操船と迎撃に必要な人員を確保したホワイトベースはサイド7を脱出。
そして、シャアの執拗な追撃により、満身創痍のホワイトベースは当初の目的地である地球連邦軍総司令部ジャブローから、遠く離れたジオン占領地域の北米大陸に降りてしまう。
本作は、激戦地帯を転戦しながら、宿敵シャアを始め、様々な人々との出会いと別れ、そして戦いを経て、数々の困難を乗り越え、閉鎖的な極限状態に悩み傷付きながらも一歩ずつ成長していく、アムロを始めとした少年少女の成長を描いた物語であり、また、ジオン・ズム・ダイクンの遺児ながらザビ家への復讐の為、シャアを詐称するキャスバルと医学生として滞在中のサイド7で戦闘に巻き込まれ、ホワイトベースの通信士(後にパイロット)となったセイラ・マスことアルテイシアの兄妹の相克。
アムロと運命的な出会いを果たし、理解し合いながらもシャアを庇い戦死するララァ・スン。
最愛の恋人ララァの死により、遅まきの覚醒を遂げ、最強のライバルであるアムロとガンダムに挑む立場となったシャアの三角関係が描かれている。
リアル志向
本作以前の1970年代当時は『宇宙戦艦ヤマト』、『ルパン三世』、『長浜ロマンロボシリーズ』といったティーンエイジャー層をターゲットにしたアニメ作品の盛り上がりによりアニメ視聴者層の対象年齢が広がりつつある時期ではあったが、ロボットアニメというジャンルだけはスポンサーである玩具メーカーが販売する関連商品の購買層が小学生以下に限られていたため、いわゆる「お子様向け」の内容を脱することができずにいた。
ところが本作では『ザンボット3』と『ダイターン3』の好調な販売成績を受け、スポンサーからの干渉が少なかったため、敵も味方も同じ人間どうしの「戦争」という、より現実感のある状況を描き出すことが可能となった。
リアリズムあふれる作風は作画監督・キャラクターデザインの安彦良和氏の発言によると、富野氏が絵コンテとして参加した高畑勲監督作品『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』の影響が大きいと富野氏との対談で語っており、富野本人も「高畑、宮崎から受けた影響は大きい」と語っている。
現実感のある兵器
また、前述のとおり登場するロボットを「モビルスーツ」と呼んで、現実の兵器に近い描写を行ったのも本作の重要な試みの一つである。
従来、主役ロボットには変形や合体など玩具として魅力的なギミックを備えることがスポンサーである玩具メーカーから求められており、本作の主役ロボットであるガンダムも試作品という設定を付して同様のガジェットを組み込まれた。
ところが本作ではさらに、敵軍のロボットに設定上「量産機」という概念を与え、ロボット描写のミリタリズムを高めた。
レーダーや電波誘導兵器を攪乱・無効化するミノフスキー粒子という架空の粒子も設定され、ロボット同士の白兵戦に説得力を持たせた。
また、『機動戦士ガンダム』はロボットが合体完了した後のあからさまな決めポーズが無く、さらに各ロボット固有の必殺技や止めの一撃用の決め技が無いのも従来のロボットアニメでは見られなかった特徴の一つである。
奥行きのある登場人物
主人公のアムロ・レイは、民間人の少年として突然に戦争に巻き込まれ、モビルスーツのパイロットとして戦う使命を負うこととなり、閉鎖的な極限状態に置かれるうち次第に疲弊する中で、上官にプライドを傷つけられて戦場から逃亡するが、そこで出会った敵将に勝ちたいという感情から戦線復帰する…という、それまでのアニメにない重厚でリアルな心理描写が、当時のアニメファンに受け入れられた。
主人公はもちろん、彼をサポートする人々や敵対する兵士、全体のプロットには直接触れない人物にいたるまで、その人物像がていねいに描かれた。
また、必ずしも主人公サイドの連邦軍が一枚岩でない様子や、シャア・アズナブルの復讐劇の要素も交えて奥行きのあるドラマを展開。
従来作品に比して作品世界が豊かになっている。
ニュータイプの概念
本作の重要なキーワードの一つが「人類の革新ニュータイプ」である。
超能力にも似た特別な感覚を得た人々として設定されたニュータイプは、当初は主人公アムロに超人的活躍をさせるためのアイデアだったが、やがて宿敵シャアもまたニュータイプであることが明かされ、そして同じくニュータイプである少女 ララァ・スンとの出会いと3人の間で起こる悲劇を通じて、「人類の革新」とは何なのかという抽象的なテーマへと昇華された。
この結果、本作はロボットアニメという枠組を破綻させることなく、スペースファンタジーと哲学を盛り込み、現実味を持たせた物語や設定によって高年齢層の視聴に堪えうる作品作りが可能であることを示すこととなった。
初回放映時の評価と後の社会現象
初回放送時の視聴率は名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%と振るわなかった。
視聴率低迷のため、スポンサーの要望によって量産型の他にいわゆる「やられメカ」を毎回出すことになり、試作機が投入されたという設定で グフやドムなどの新MSやモビルアーマー(MA)が登場したが視聴率は好転しなかった。
視聴率低迷は関連商品の不振につながり、スポンサーから「シャアという陰気なキャラクターがいけない」と指摘され作中でシャアを左遷したが、今度は「シャアが何で出ないのだ」という抗議の手紙が殺到した。
こうした手紙は中高生のファンからであり、サンライズ側の当初の狙い通り、本作には中学生以上のファンがついていた。
名古屋テレビの関岡渉によると左遷どころか殺す予定だったのをスタッフを説得して取りやめになったとある。
その後もテコ入れが試みられたが視聴率も売り上げも挽回できず、全52話の予定が全43話に短縮される形の打ち切りとなった。
シリーズ途中で安彦良和氏が病気で現場を離れるなど、製作スタッフの疲弊も激しかった。
ところが打ち切りが決まった直後から人気が上昇。
最終回でアムロは死ぬ予定だったが、関岡氏が人気の盛り上がりから再放送や続編制作が期待できるため反対して取りやめになった。
また、放送当時からアニメ雑誌がたびたび熱意ある特集記事を組むなど、中高生、特に女子を中心に口コミで徐々に評判が高まった。
放送回数は打ち切り決定当時の43話のままで終了したが、本放送終了後もアニメファンによる再放送要請嘆願署名が行われるなど熱意が衰えず、これらを受けてクローバーは再放送を決定した。
こうして再放送、再々放送が重ねられ、世間一般へ本作が浸透していった。
再放送では平均視聴率も10%を超え、1981年における関東地区で17.9%、1982年における名古屋地区で25.7%(最高視聴率29.1%)を記録した。
放映終了半年後にバンダイから発売されたMSのプラモデルが爆発的な売れ行きを見せ、ガンプラと呼ばれた。
後の劇場版公開もあわせ、社会現象ともいえるブームを巻き起こした。
その後も本作と世界観や設定、歴史などを踏襲、あるいは共有する小説や漫画が数多く制作された、メディアミックスの先駆けともいえる作品である。
一方で、作中におけるMSの描写やニュータイプの存在に対して高千穂遙氏がSF作家としてSF考証の観点から批評する意見を述べ「ガンダムSF論争」を巻き起こした。
アニメ史上の評価と後続作品への影響
本作のヒットは新たなアニメブームをもたらし、これに影響されたアニメも玉石混淆で無数に製作されることになる。
特にロボットアニメは本作同様に、登場人物や世界観の描写に力を注ぐことで高年齢層も意識した作品作りがなされるようになり、数多くの作品を生み出した。
勧善懲悪の世界からの脱却
『機動戦士ガンダム』が後世の作品に与えた最も大きな影響として、勧善懲悪の世界から脱却したことが挙げられる。
それまでの漫画やアニメの主人公は絶対的な正義のヒーローであり、敵役は完全に悪の存在であった。
視聴者は正義vs悪者の構図に慣らされ、それが当たり前だと思っていた。
主人公も人間なら敵も人間
『機動戦士ガンダム』が勧善懲悪の世界から脱却できた大きな要因が、敵役が主人公と同じ人間だということだった。
それまでの漫画やアニメの敵役は、設定上では人間によく似た宇宙人であった。
宇宙人になら、どんなに敵への憎しみをぶつけようと問題がなかったのだろう。
だが『機動戦士ガンダム』では、敵も視聴者と同じ人間であった。
そして敵味方が同じ人間同士だと、互いの主義主張が理解できるのだ。
勧善懲悪の世界にはない、「敵の言い分もわかる」という現象が生まれる。
その現象がもたらした恩恵が、敵役の中に愛すべきキャラクターを生んだことだ。
愛すべき敵キャラクター、シャア・アズナブル
『機動戦士ガンダム』は知らない人でも、シャアの名前くらいは知っている。
それほど有名な敵役がシャア・アズナブルである。
シャアは、さすがガンダム随一の愛すべき敵キャラクターだけあって、そのステータスは大変魅力的なものになっている。
亡国のプリンスであり、亡き父と母の復讐を果たすべく祖国へ潜入中の身である。
本名以外に名前をふたつ持ち、シャア・アズナブルはふたつ目の偽名。
おまけに現在は将校でエースパイロット。
専用機を駆り、赤い彗星の異名を持つ。
さらに独特の言い回しで名言を連発し、優秀な指揮官としてのカリスマ性をも持ち合わせている。
まさに敵役のヒーローと呼べる存在である。
そしてシャアが愛すべき敵キャラクターになれたのは、シャアが同じ人間だったからである。
いくら魅力的なステータスを持っていようが、異世界の人間ならそれほど親しみはわかなかっただろう。
シャアが視聴者と同じ人間だったからこそ、憧れと共感と親しみが得られたのだ。
登場する専門用語はアニメの進行と共に学ぶ
「ガンダムシリーズ」のもうひとつの大きな特徴として、登場する専門用語にいちいち細かい説明をつけないことが挙げられる。
これは制作陣が意図的に行ったことであった。
アニメを観ている視聴者はよくわからない専門用語に混乱する。
だが面白いことに、登場人物たちも同じように混乱しているのだ。
宇宙世紀の「ガンダムシリーズ」の主人公は、基本的に巻き込まれ型と呼ばれる一般人が主である。
一般人だから、軍事用語もわからなければ戦略もわからない。
平和な日本人のましてや子供なんて、軍事用語も戦略も当然のようにわからない。
要するに、視聴者は登場人物と同じ体験をすることになる。
すると登場人物の成長に伴って、視聴者も成長していくことなる。
これは大発明とも呼べる画期的な手法だった。
その証拠に、この手法は後の漫画なアニメに多大な影響を及ぼすことになる。
あらゆる新しさを盛り込んだ『機動戦士ガンダム』の第1話は、40年以上経った今でもアニメ業界で非常に評価が高い。
ガンダムこぼれ話
『機動戦士ガンダム』の最終回で、シャア・アズナブルの額に傷がつくシーンがある。
これ、実はガンダム制作陣の意地だったという噂。
『機動戦士ガンダム』の企画段階で、シャアの額にはもともと傷がある設定だった。
ちょうど松本零士先生の『宇宙海賊キャプテンハーロック』のハーロックようになる予定だったという。
だがTV局側がそれに待ったをかける。
今でいうところのコンプライアンスに抵触するという理由だった。
身体障害者を連想させるとか、そんな理由だ。
何故ハーロックは良くてシャアがダメだったのかといえば、それは『機動戦士ガンダム』を一番最初に放送した名古屋のTV局に関係しているらしい。
ただ制作陣としても、ハーロックは良いのに何故?という悔しさがあったのだろう。
その悔しさもあって最終回でシャアの額に傷をつけることは、制作陣の意地でもあったようだ。
制作陣の意地でつけたシャアの傷が、まさか後のガンダムシリーズでも非常に重要なキーワードになるとは、制作陣自身も夢にも思わなかっただろう。
『機動戦士ガンダム』に登場する主なモビルスーツ
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