大河ドラマ『どうする家康』に学ぶ
本当は凄かった江戸時代
家康が作り上げた究極のSDGsワールド「江戸」③
徳川将軍家が実質的に日本を支配した260年あまりの期間を、一般に「江戸時代」と呼ぶ。
家康が作り上げた江戸の町は大きな発展を遂げ、それに伴い社会も成熟していった。
そうして迎えた幕末期。
日本には「国際社会から大きく遅れをとった、閉鎖的で進歩がない時代」…そんなイメージが長らくつきまとっていた。
これは明治政府が、打倒した江戸幕府が支配していた時代を「遅れていた」と印象づけたことが強く影響している。
しかし本当にそうだったのか?
幕末日本の真実の実力とは?
SDGsとは
SDGsとは略称であり、正しくは「持続可能な開発目標」(英語: Sustainable Development Goals)という。
2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標である。
その下に、169の達成基準と232の指標が決められている。
簡単に言ってしまえば「持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」ということ。
世界が驚いた日本の職人の技術力の高さ
産業と技術革新の基盤をつくろう
(英: Industry, Innovation and Infrastructure)
「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」
本場のプロを唸らせた精巧な技術
江戸の町の整ったインフラ技術は、日本を訪れた外国人たちを大変驚かせた。
しかし外国人たちを一番驚かせたのは、日本の職人の精巧な技術だった。
スイスの特命全権大使として江戸に赴任したエメ・アンベール※は、攘夷派に付け狙われているにもかかわらず、江戸の工芸品を眺めるのに夢中になった。
私は漆職人や陶器職人の他、象牙職人や織工、人形職人や木工職人など、さまざまな職人を訪ねましたが、彼らが持っている技巧は、ヨーロッパ人でさえ驚かすほど、どれも極限に達したものばかりでした。
特に時計職人が、彼らが生み出す時計の複雑さに比べて、使う道具の少ないことは、私の興味を引きました。
エメ・アンベール
実はアンベールは、時計製作の技術にかけては世界最高といえるスイスの時計生産者組合の会長も兼ねていた。
その彼を驚嘆させるほどの技術力を、日本の職人たちは有していたのである。
※エメ・アンベール
エメ・アンベール=ドロー(Aimé Humbert-Droz)は、スイスの政治家、外交官、旅行者、教育者。
スイス時計組合会長、国会議員を歴任しスイス大統領も務めている(1856年)。
かつて日本を経済大国へとのし上がらせた技術力の礎は江戸時代にあり
技巧の確かさもさることながら、日本の職人たちのもうひとつの武器は優れた技術を模倣し、吸収する力である。
である。
鉄砲鍛冶の国友一貫斎※という男がいる。
※国友一貫斎
別名、九代目・国友藤兵衛。
鉄砲鍛冶師、発明家。
幼名は藤一。
号は一貫斎、眠龍。
諱は重恭。
能当(旧字では能當)と銘を切る。
日本で最初の実用空気銃や反射望遠鏡を製作。
自作の望遠鏡を用いて天体観測を行った、日本の天文学者のさきがけの一人でもある。
彼は彦根藩の御用掛として腕を振るっていたのだが、1819年、幕府にオランダから伝わった空気砲(空気の圧力で弾を発射する銃)の玩具の修理を任される。
一貫斎は空気銃を分解、部品を詳細にスケッチすることでその構造を解明した。
そしてこれが空気の圧力を利用した銃であることを発見すると、修理だけにとどまらずイチからまったく同じものを作り上げ、「気砲」と名付ける。
気砲はポンプで銃床に空気を込めるのだが、彼は込める回数によって銃床の重さが違うことに気がついた。
つまり、空気に重さがあることを発見したのである。
かのガリレオ・ガリレイがやっとのことでたどり着いた自然の原理に、銃一丁から追いついてしまったのである。
これだけでも十分凄いのだが、一貫斎の凄さはそれだけにとどまらない。
一貫斎は銃の威力が空気圧の高さに比例することに着目。
強力なバネで注入時の空気漏れを防ぎ、連結部には精巧なネジを用いて強い圧力にも耐えられるよう再設計した。
その後も改良を加え、ついには20発も連射できる「早打気砲」まで開発している。
一貫斎が開発した早打気砲があまりに強力すぎるため、「暗殺に使える」と危惧した幕府によってお蔵入りにされてしまったという。
前述のスイス大使・アルベールは、こうした日本の職人の技術力の高さ、器用さを評して、こんな予言めいた言葉を日記に書き残している。
生来、器用な日本人たちが、来日するヨーロッパ人たちから、単なる職人か、せいぜい職工長くらいの地位しか与えられないで、ずっと満足しているでしょうか?
(中略)
蒸気の力や機械の力を使って起こす産業を、いつまでもヨーロッパ人に独占させておくでしょうか?
アルベール
政治家こそ歴史に学べ
現在の日本の町工場の技術の中には、世界一を誇るものが数多く存在する。
しかし国はこれを保護しようとしていない。
技術の消失はもとより、流失の危機感すらありもしない。
かつて日本を経済大国へと押し上げたのは、この技術力があったればこそ。
それを忘れてしまった日本人に、復活への活路が見出せるだろうか?
現在の政治家こそ、歴史から多くを学ぶべきだと著者は考える。
足元すらも見えていない者に、未来など見えるわけがないのだから。
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